農業共済新聞記事バックナンバー
「黒ニンニク 栽培から加工まで」
【登米市】圃場整備工事や暗渠(あんきょ)排水工事を請け負い、農地活用にも取り組むのは、登米市米山町の「ファーム宮田(佐藤安憲(さとうやすのり)代表取締役・61歳)」。建設会社の農業生産部門として2019年に設立され、黒ニンニクを生産する。佐藤社長は「栽培品目をさらに増やして雇用を生み、地域に貢献していきたい」と意気込む。
「ニンニクはさまざまな薬効が証明されていて、その成分が凝縮された黒ニンニクは、コロナに負けない免疫力が期待できる」と佐藤社長。登米市の農業法人「鈴根ファーム」の指導を仰ぎながら栽培から加工までを行っている。
10月下旬から11月上旬にかけて、圃場10㌃に青森県産「ホワイト六片」の種球250㌔を定植。6月に約1㌧収穫し、通年で加工ができるようマイナス2度の冷凍庫で貯蔵する。
加工は、ステンレスのざるにと竹炭と電気釜を使い、生ニンニクを入れて約2週間、保温状態にする。
「竹炭に余分な水分を吸わせて熟成させるオリジナル製法」と佐藤社長。熟成すると糖度が上がり生ニンニク特有の刺激臭が消えて、フルーツのような風味に変わるという。
同市豊里町の三浦吉記さん(67)は「一粒食べると体の芯からぽかぽかしてくる。匂いもなく食べやすい」と効果を実感しリピートする。
黒ニンニクの栽培、加工は、ファーム宮田設立以前から取り組んでいて、2016年には「黒い宝石箱」で商標登録している。佐藤社長がデザインした化粧箱=写真=に入れて販売し、贈答品として好評を得ている。
ファーム宮田では新たな試みとして、もみ殻を燻炭にする際の熱を利用して温室栽培を計画中。まずはアボカドに挑戦するという。
「パイナップルやマンゴーなどに取り組み、南国フルーツで地域の直売所をいっぱいにしたい」と佐藤社長は話し、さらに「栽培で雇用が生まれ、地域に貢献できる会社として、経済を循環させたい」と夢を膨らませる。