農業共済新聞記事バックナンバー
「ゼロから始める観光農園」
【岩沼市】岩沼市寺島の「株式会社玉浦農園(たまうらのうえん)(2018年設立)」は、今年4月に同市蒲崎地区にオリーブやブルーベリーなどの苗木900本を植樹。代表取締役を務める大村昇(のぼる)さん(67)は、「手探りのスタートだが、なんでもやってみる気持ちが大事」と東日本大震災からの地域の復興に尽力し、観光農園の開園を目指す。
復旧後の農地1.2㌶に、オリーブ200本とブルーベリー600本の他、ラズベリーとブラックベリーを各50本植樹。「山土で客土された農地だが、オリーブは酸性の土壌に強いので栽培に適している」と大村さんは話す。 成長後も木の根元まで十分に日が当たるようオリーブの苗木の間隔は、5㍍と広く確保した。 福島県から取り寄せた苗木は昨年の台風19号で冠水被害を受けたが、ボランティアの助けを借りながら葉の一枚一枚を拭いて植えた。 「廃棄になったかもしれない苗木が、大震災から復旧したこの場所でこうして育っている。なにか縁のようなものを感じるね」とほほ笑む大村さん。肥料にも、台風19号の被害で出荷できなくなったホールクロップ用の稲わらをすき込んで使用する。 今後はオリーブオイルやベリー類のジャムを手掛けるなど、加工品の製造・販売にも意欲を見せ、加工場の設置に向けて準備を進めている。 「いずれ農園にカフェやステージを設け、加工品の販売や音楽イベントも開催したい。やりたいことはたくさんあるが、焦らず一歩ずつ進めていきたい」と夢を膨らませる。