農業共済新聞記事バックナンバー
夏場でも安定生産
【大郷町】2018年10月に設立した大郷町の「株式会社イグナルファーム大郷(阿部聡(あべさとし)代表取締役社長・42歳)」は、鉄骨ハウス1.08㌶に環境制御システムを完備し、約2万5000本のミニトマト「キャロルクイーン」を作付けする。阿部さんは「生産設備と技術を備え、夏場の需要に応えていく」と意気込む。
生産したミニトマトは、主に関東地方へ出荷。冬場は西南暖地や関東産が市場に多く出回るが、夏は猛暑で関東方面の生産量が下がるため需要が高まる。 このため夏場から11月にかけては、安定した収穫量と質を確保し量産体制を整える必要があることから、環境制御システムを導入した。 阿部社長は、「従業員に自分の感覚で教えるよりも、データを示した方が、明確に伝わる」という。従業員は、過去の気象データなど収集した情報をもとに作業できるので作業効率が上がると口をそろえる。このことから、安定した収穫量と品質の提供につながる。 環境制御システムは、ハウス内の気温や日射量(環境データ)をセンサーが感知し、1日の潅水(かんすい)の回数と量の適値を計算して自動で行う。 環境データがコンピューターに取り込まれると、ハウスの天窓の開閉幅を調整するなど、状況に合わせてハウス内の環境を最適に保つ。 ミニトマトは暑さに強く裂果しにくいキャロルクイーンを選定し、3月下旬から4月上旬に定植。「日射量が多い6月までの間に、根っこの量を増やすことで夏の暑さに耐える体づくりができる」と阿部さんは話す。 今後は施設の機械化をさらに目指し、収穫機械の導入を予定する。阿部さんは「温度や二酸化炭素濃度、さらに1分間の収穫量など多様なデータを収集し、クラウドや5Gサービスを活用して情報を集約して運用することで、課題や効率化に役立てていく」と将来を見据える。