農業共済新聞記事バックナンバー
「わが町の特産に」
【大和町】「大和町の名物にして行者菜(ぎょうじゃな)で町を売り込みたい」と話すのは、「仙台行者菜研究会」の黒川支部長を務める文屋浩(ぶんやひろし)さん(63歳・大和町鶴巣)。行者菜はギョウジャニンニクとニラを交配させた野菜で、黒川支部では2018年から栽培を手掛け、普及拡大に尽力する。
行者菜は、血流を良くする効果や動脈硬化を防ぐ硫化アリル、ビタミンAなどの栄養価がギョウジャニンニクやニラに比べて豊富で、見た目はニラのようだが噛むとニンニクの風味が口の中に広がる特徴を持つ。東北などの生産者で「全国行者菜研究会」を構成・連携し、情報交換や認知度アップを目指している。
元々、ギョウジャニンニクを栽培していた文屋さん。行者菜がギョウジャニンニクよりも栄養価が高いと知り、県内唯一の生産地・仙台市太白区秋保地区の仙台行者菜研究会を訪問した。
「何度も秋保を訪れ、売り出しやイベントの手伝いなど秋保地区の研究会メンバーと交流を深めた」。文屋さんの熱意が伝わり、2018年、黒川支部設立となった。
春先に定植し1年目は株を大きくするため収穫せず、2年目以降の5月から9月にかけて収穫。栽培には水はけの良い土地が適している。
「最初は減反した田んぼに作付けしたためうまくいかなかった」と苦労を話す文屋さん。研究会で株数は1人当たりの株数を700株までと指定していて、黒川支部では今年、3500株(7㌃)から2100㌔収穫することを目指し、来年は1400株(2㌃)増やす計画だ。
「知名度を高め、栽培する会員が作ってよかったと思えるようにしたい」と文屋さん。ブランドPRのため、公式キャラクターがプリントされたのぼりやレシピを売り場に設置したり、会員たちと共に消費者へ魅力や食べ方を紹介したりと、普及に力を入れる。
テレビ等のメディアも活用し「まずは行者菜を知ってもらうことが大事。お客さんからおいしかったと声掛けされることがうれしい」と文屋さん。生産の傍ら営業・広報の役割を担い、行者菜の消費拡大へ向け大和町から発信し続ける。(鈴木大)