農業共済新聞記事バックナンバー
「水田フル活用大規模化へ」
【美里町】美里町小牛田地区の「農事組合法人タカギ農産」は2017年に集落営農組合から法人化し、転作の栽培品目にニンジンを導入。代表理事を務める日下浩一(くさかこういち)さん(59)は「収益性の高いニンジンで、安定した経営を目指す」と意気込む
タカギ農産では、理事4人、構成員11人とその家族で、大豆12.4㌶と水稲8.7㌶、転作田に青ネギ20㌃を作付けするほか、レタス20㌃を施設栽培する。
ニンジンは夏採りを中心に、「クリスティーヌ」など9品種を1.5㌶栽培。品種ごとに播種時期を調整することで、7月中旬から12月末まで収穫が可能だ。
播種労力を減らすため、大粒で均一に加工された「コーティング(ペレット)種子」を採用し、幅100㌢のベッド状の高畝に、5条播き、8~10㌢間隔で播種する。 幅広・高畝にすることで、水はけが良くなり収量が確保できる。掘り起こし作業も楽になるという。
日下さんは「ニンジンは発芽が難しく、播種後から発芽までの間は水分が必要。乾燥が続けば、畝の高さすれすれまで灌水し、土壌の水分を調整する。生育後期は排水対策が重要なため、カットドレーン(暗渠(あんきょ))を実施する」と説明。株間が狭いと直根が伸びにくいことから、直売用はやや小さめ、加工用は大きいサイズになるよう間引いて株間を整えていく。
週に3日、1日あたり500㌔を収穫し、町内の法人と合わせ1週間当たり3㌧のニンジンをJA新みやぎに出荷。学校給食で用いられる他、直売所や加工業者に提供される。
日下さんは「大豆の大規模化と大麦の栽培に挑戦し、全体で50㌶ほどまで規模拡大していきたい。法人化により、一層、地域農業に貢献できれば」と抱負を話す。(髙橋千)