農業共済新聞記事バックナンバー
「地域の特産品に」
【岩沼市】「日本ではとても珍しい果物『ポポー』を地域の特産品にしたい」と話すのは岩沼市の宍戸幸次(ししどこうじ)さん(68)。市内千貫地域の仲間9人と共に「岩沼ポポープロジェクト」を立ち上げ、休耕地などを利用したポポー栽培で、地域の活性化を目指している。
宍戸さんは友人からもらったポポーの風味に強く引かれ、6年前に苗木55本を購入し栽培を始めた。
ポポーは北アメリカ原産で別名「森のカスタード」と呼ばれる。大きさは大人の握りこぶし大で、甘味が強くねっとりとした食感が特徴だ。
「食感は人によって異なり、バナナやメロンのようだという人もいる。味や食感について感想を聞くのが楽しい」と宍戸さん。「ポポーは日持ちが悪く、熟してから2、3日で表面が茶色く変色し腐ってしまう。流通が困難なため、幻の果物と呼ばれている」と話す。
栽培に特別な技術や害虫対策は不要だが、生育が旺盛なため家庭の生ごみを利用した自家製の有機肥料に加え、鶏ふんを3カ月に1回散布している。
3月下旬から開花し着果した果実は、8月頃から1ケ月程度で熟して落果する。それを拾い集め、今年の収穫は200個となった。一つの花から5個くらい結実するため重みで枝折れしないよう注意を払う。
プロジェクトでは名取市のジェラート専門店と協力し、ポポーのジェラートを開発した。「生食が難しいので、冷凍保存することで日持ちの問題を解決した」という。
ジェラートは市内の店舗で販売するほか、同市のふるさと納税の返礼品にも採用される。
宍戸さんは「今後は風味を生かした酒類の開発や、種なしポポーの実現などに取り組みたい」と抱負を話す。(遠藤良)