農業共済新聞記事バックナンバー

「収入保険が経営の支え」

自然災害や農産物の価格低下、新型コロナウイルスの影響など、経営努力だけでは避けられないリスクを幅広く補償する収入保険。個人などの新規加入申し込みは12月末が期限となる。万一の備えとして収入保険に加入している農業者を紹介する。

【大崎市田尻】「収入保険に加入して本当に良かった」と話すのは、大崎市田尻地区の髙橋昇(のぼる)さん(64)と妻の澄江(すみえ)さん(60)。水稲4.3㌶とスターチス0.5㌃、野菜1㌶でブロッコリー、タマネギ、ちぢみホウレンソウとちぢみ雪菜を栽培する。      
 「夫婦だけで農業に従事しているため、体調不良になったときの経営に不安を感じる」と昇さん。「農業者の努力だけでは補えないコロナ禍における価格の低迷、近年の米価下落も心配している」と話す。      
 以前から収入保険のような制度が必要だと感じ、2018年の制度発足時に加入を決めた。      
 収入保険の魅力は、「私たちが不安に感じる点を幅広く補償してもらえること。支払い基準が明確で、基準収入の9割を下回った際に補償される点は、収入保険の一番の利点だと思う」と笑顔を見せる。       
 昇さんは「わが家では、安定した収入を目指しているので、収入保険に加入したことで次年度の計画が立てやすくなった。初年度は積立金の負担が大変だと感じたが、補償の安心感も大きいと思う」と話す。      
 今後について「体に負担がかからない、高収益が見込める品目を導入し、体調管理と効率化を図っていきたい」と先を見据える髙橋さん夫妻だ。(髙橋千)

【加美町】「今年は自然災害も事故もないのに、経営が立ち行かなくなる不安を感じた」と話すのは加美町の大野美知雄(みちお)さん(62)と息子の美博(よしひろ)さん(33)。
 3年前に美博さんが就農し、親子で水稲「ひとめぼれ」14.2㌶のほか、昨年から冬場の収入確保のため、ネギ25㌃の栽培も始め、JA加美よつばへ全量出荷する。      
 「コロナ禍の影響で米の消費が伸びず、予想以上の米価下落にわれわれ米農家は落胆していた。ネギも去年より安値が続き、今年の収入減は免れない」と美知雄さん。      
 作付面積の増加に伴い、大型化した農業機械は費用が増える。「収入と支出のバランスをとるため、収入の安定は必然。自然災害に加え、けがや病気による収入減少も心配していた」と加入のきっかけを話す。      
 「収入保険は農業収入を補償してくれる新しいタイプの保険でメリットを感じた。水稲共済では対象にならない価格低下など幅広い補償で安心感がある」と美知雄さんは期待を寄せる。      
 今後について、「7月に法人化したオオノファーマーズファクトリーを来年から運営する。作付面積も増やす予定なので、息子に経営移譲するときのためにも、収入保険で安定した経営をしていきたい」と話す。(今野昌)

加美町 大野 美知雄さん、美博さん

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