農業共済新聞記事バックナンバー
「餌に県産米を配合」
【栗原市】養鶏業一筋に励んできた栗原市の農事組合法人「栗駒高原」の理事・岩島誠さん(59)は、2011年に、鶏本来の行動をできる限り制限しない平飼いを始めた。ローストレスな環境で生産される「平飼い有精卵」は、市内産直の他、宅配販売で取り扱っている。
飼養する品種「ボリスブラウン」は、病気やストレスに強いのが特徴だ。1500平方㍍の鶏舎に雌1500羽、雄80羽で、年間36万個の卵を出荷している。
餌は一般的に輸入トウモロコシが6割程使用されるが、同法人では一切使用せず、県産米に置き換えている。
米どころで養鶏を始める意義を模索し、米を使った餌の配合を試行錯誤し続け、最良な配合を見出したという。「米を給飼することで、すっきりとした味わいの卵になる」とし、「しつこくない味わいが魅力。スイーツや料理の素材に使用することでおいしさを引き立てる」とアピールする。
岩島さんは、地元の企業と積極的に商品開発に取り組み、「餌となる米」「生産される卵」「商品を作る店」の全てが栗原に由来することが付加価値になると考える。
「大規模にケージ飼いをしていたころは、産卵率を重視していた。平飼いを開始し、鶏が食べたりくつろいだりする様子を見ていると、養鶏をしているという実感が昔以上にあるし、鶏と一緒に仕事をしていると感じる。動物は話すことができないので『意を酌む』ことを極めていきたい」と研さんに余念がない。(佐々木貞)