農業共済新聞記事バックナンバー

「葉とらずリンゴ栽培」

【栗原市】栗原市金成小堤(おづつみ)地区の小野寺聡さん(48)は、70㌃の園地で「ふじ」「シナノスイート」など約10品種のリンゴを生産。同市産のふじは、通常の収穫期からさらに3週間ほど樹上で熟成させた完熟リンゴで黄金色の蜜がたっぷり入る。

同市はリンゴの栽培適地よりも比較的暖かくて落葉が遅い。完熟リンゴは、地域の気候を生かした生産方法だ。
 リンゴ通常、は赤く色付けするため、果実近の周りの葉を摘葉する。小野寺さんはリンゴ近くの葉を残す「葉とらずリンゴ栽培」を採用。この方法で、葉で作られた養分が果実に蓄えられ、糖度が高くみずみずしい完熟リンゴを仕上げる。
 販売の多くは10月下旬から12月だが、半地下の貯蔵庫を利用し3月まで販売期間を延ばすように工夫する。
 小野寺さんは2004年に就農し、祖父の代から続く園地を引き継いだ。作業しやすい樹形を維持するため、剪定(せんてい)作業に特に気を配り、2年後を見据えた枝の更新や、日当たり、風、薬剤がまんべんなく届くよう心掛ける。
 「お客さまからの『おいしかった』の声が一番のやりがい。お客さんが新たなお客さんを連れてきてくれるので裏切れない。より高品質なものを提供していきたい」と小野寺さん。「自家用のモモを近所に分けたところ好評だった。リンゴ栽培に影響が出ないように、今後は夏収穫の品目にも挑戦していきたい」と意欲を見せる。

 

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