農業共済新聞記事バックナンバー
「コスト削減、軽さも利点」
【山元町】「土壌の改善に加え、廃棄物の有効利用や軽くて簡単に散布できる点など利点がたくさんある」ともみ殻を炭化した「もみ殻炭」の有効性を話す山元町真庭の佐藤輝男(さとうてるお)さん(77)。2020年3月にもみ殻炭の製造装置を導入し、水稲栽培のコストの削減と収量・品質の向上を目指す。
佐藤さんは製造装置の導入以前から、もみ殻の一部を炭にして畑に撒布していて「土が柔らかくなり作物の根張りが良くなったため、水田にも効果的だと思った」という。
もみ殻炭1㌧の製造に使用する燃料は200㍉㍑ほどと、コストが低い。半日(12時間)で出来上がるが、高温で一気に炭化するため煙やにおいが抑えられ、近隣住宅への影響も少ない。
注意点は火入れ時の火加減と窯のフィルターをきれいにすること。火が強すぎると灰になってしまい、フィルターが詰まると煙が増えてうまく炭化しない。
「操作は難しくないので慣れれば、稼働中に他の仕事もできる。とても合理的」と佐藤さんは話す。
もみ殻炭は、もみ殻の持つ土中通気性の向上や泥跳ねの防止に加え、炭化により生じるアルカリ性成分が酸性土壌を中和させて土中生物を活性化。土壌の通気性・保水性の向上による活着の向上が期待できる。その他、消臭効果があるため有機質肥料に混ぜ込み臭いを抑える使い方もできる。
このほど本年産の水稲作付けに向け、7㌶分のもみ殻を加工し、圃場に撒布した佐藤さん。「全圃場に散布するのは今年が初めての試みなのでどんな結果になるか楽しみ」と話す。もみ殻炭をもっと多くの人に知ってもらいたいと笑顔を見せる。