農業共済新聞記事バックナンバー
「自分らしい経営を目指して」
【登米市】「農業は楽しい。安全で安心な食料を作る立派な仕事」と話す、登米市のわかば農場代表取締役の伊藤拓哉さん(41)。稲作と加工品の製造販売に取り組むほか、迎える農業体験から一歩先を行く『出向いて行う農業体験』を企画し、農業の魅力を発信している。
伊藤さんは2012年、両親から農業経営を引き継ぐと同時に法人化し、水稲15㌶のほかご飯の素などの加工品を手掛けている。
「農業を継ぐ気はなかったが、子供が生まれ、安全・安心な食べ物で子供を育てたいと思い、地元に戻って就農した」と伊藤さん。「その矢先、東日本大震災に見舞われ、それまで両親が主軸にしていたシイタケ栽培が難しくなり、加工品に舵(かじ)を切った」ときっかけを話す。
「農業はつらくて大変でもうからないというイメージが強いが、高性能な農業機械が普及し、快適で効率良く作業でき、やり方次第で多くの利益、やりがいを得られる」と伊藤さん。農業がいかに魅力的かを伝えていきたいという。
加工品の一つ「今日は豆ごはん」は、米2合に青豆や黒豆を入れたご飯の素。豆の香りと米のもっちりとした食感を家庭で手軽に楽しむことができる。価1袋500円(税込み)で市内の直売所やJR仙台駅などで販売していて、土産品として好評を得ている。
「赤飯も試作中」と伊藤さん。ほかの豆と違って小豆の加工に工夫が必要だと奮闘中だ。
新しい試みとして計画しているのが、移動農業体験だ。培地を運び、子供たちに畑やハウスに入らず植え付けをしてもらおうと考えている。 伊藤さんは「登米市には良質な農産物がたくさんある。全国の消費者に届けられるような仕組みをつくり、発信していきたい」と強く話す。