農業共済新聞記事バックナンバー
「みんなに伝えたい農家の思い、魅力」
【色麻町】県農協青年連盟では、コロナ禍で食育や広報活動など青年部活動が中止となる中、若手農家の農作業の様子や農業への思いを新たな形で発信しようと、動画投稿サイト「ユーチューブ」に公式チャンネル「一粒農魂(いちりゅうのうこん)」を開設した。同連盟から、1年間の密着取材を受ける色麻町の畜産農家・橋本拓未(はしもとたくみ)さん(35)は「動画を通して、農業の魅力を伝えていきたい」と意欲的に話す。
橋本さんは父の三学(みがく)さん(60)と共に、主食用米4㌶、畑20㌃でソラマメ、アスパラガス、ニンジンを栽培する他、繁殖和牛40頭を飼育している。農業歴は15年で同連盟の委員を務める。
タイトルの「一粒農魂」には、「一粒の米にも農家の思い(魂)がこもっている」という意味があり、宮城米の生育からご飯になり食べられるまでの過程に加え、飼育している牛や野菜の生育状況を月2回ほど投稿。ユーチューブチャンネルでは橋本さんの1年間にわたる密着取材を通し、農作業を紹介していく。「農作業をしながら動画の1シーンを撮るので、撮り直しがきかない一発勝負。天候や生育状況を考えて撮影するのでタイミングが難しいが、農業の面白さをアピールしていきたい」と橋本さん。
動画の撮影と編集を担当する加美町小野田の山城恵介さん(24)は「ユーチューブは情報発信の場として広く利用されている。多くの人に見てもらえるよう撮影や編集を工夫していきたい」と話す。
動画撮影に協力するJA宮城中央会の中野有馬(ゆうま)さん(25)は「橋本さんと一緒に農作業を通して初めて体験することも多い。今回は田植え作業の様子を撮影しているので、より一粒農魂を楽しみながら視聴してほしい」という。
一粒農魂では今後、県内の青年部員にも登場してもらう予定だ。
橋本さんは「一農家の農業に対する思いや楽しさを発信して、生産者には共感、農業と関わりがなかった方には農業をより身近に感じてもらえれば」と笑顔で話す。(今野昌)