農業共済新聞記事バックナンバー
「昔ながらの製法守る」
【石巻市】「昔ながらの製法にこだわって商品を作っています」と話すのは石巻市河北の「丸伊農産」責任者・伊藤さよ子さん(63)。上品(じょうぼん)山と北上川の支流のそばで、「手造り上品味噌(みそ)」「上品紅梅」「上品小梅」を心を込めて製造している。
味噌と梅干しは、先代の祖母が自家用に培った手法で手掛けたのが最初で、1981年に製造許可を得て、本格的に販売を開始。現在の年間生産量は梅干しが7㌧、味噌が2㌧で、量は増えたが祖母の製法を変えていない。
梅干しは小梅と紅梅の2種類を使い、6月から8月にかけて塩漬けと天日干しを行い、自家栽培した赤シソで漬ける。
「朝取りした赤シソの汚れを落とすための水洗い作業が大変だ」と伊藤さん。苦労してできた梅干しは、「果肉が柔らかく、酸味と塩味のバランスが良い」と話す。
味噌は自家産の「ひとめぼれ」で造った自家製米こうじを使い、春と秋の年2回、地元産大豆「ミヤギシロメ」を鉄釡でじっくり煮込む。あくを丁寧に取り除くことで大豆のうま味と甘味を引き出し、外気温に左右されない木樽(きだる)で1年間熟成させる。
米こうじ造りは、適温を保ちながら温度管理を徹底して行う。味噌は米こうじを多めに配合し、まろやかで優しい味が好評。
商品は、主に宅配販売だが、市内のスーパーや道の駅、ネットでも取り扱う。価格は、上品紅梅と上品小梅はそれぞれ250㌘入り700円、手造り上品味噌は1㌔入り700円。
伊藤さんは、「購入してくれた方から『昔ながらの味がおいしい』という声を聞くとうれしい。多くの人に支えられ、これまで続けてこられた。先代の味を守りながら生産量を維持できるように今後も頑張りたい」と意気込む。
▽丸伊農産=0225-62-0363 (守屋)