農業共済新聞記事バックナンバー
「地域守る結束力」
【七ヶ宿町】「農業を通じて地域を守っていきたい」と話す、七ヶ宿町湯原(ゆのはら)地区「湯原集落協定」の山田益広代表(66)。農地を集約し、源流を守りながら米とソバ栽培に取り組み、2020年11月、農林水産祭のむらづくり部門で内閣総理大臣賞を受賞した。
七ヶ宿町は豪雪地帯で、山林が9割以上を占める山間地域。中でも、湯原集落は白石川源流に位置する。
「20年前、高齢化や担い手不足で、農業と地域が維持できない状況に危機感を抱き、中山間地域等直接支払交付金の制度を利用し、46戸の農家で集落協定を結んだ」と山田代表。「現在は10戸まで減少したが、47㌶の農地は集約化で、昔と変わらない作付面積を維持し、環境保全米『七ヶ宿源流米』の安定生産を行っている」と話す。
約23㌶の農地には、高冷地用に開発された水稲品種「やまのしずく」の他、「ひとめぼれ」を栽培する。粉砕したカキ殻を水田に入れて土壌改良を図ることや、上流の用水路入り口に木炭を置くことで水をきれいに浄化する。生産した米は、米・食味分析鑑定コンクールで金賞を受賞する良食味米だ。
ソバは大粒の品種を選定。播種時期の分散や、開花期間中にミツバチによって結実向上を図ることで、平均収量は10㌃当たり60㌔と高収量を確保する。収穫したソバは地元産そば粉を使用する町内5店舗へ全量出荷。「七ヶ宿そば街道」で使用され地産地消を進める。
「むらづくりの取り組みとして、町外のボランティアによる鳥獣害防護柵設置『いのししバスターズ』や除排雪『スノーバスターズ』で農地の管理と生活環境を維持している」と山田代表。「農家数が減少していく中だが、今後も米とソバを作り、豊かなむらづくりに取り組みたい」と抱負を話す。(髙橋康)