農業共済新聞記事バックナンバー
「品質を重視」
【栗原市】栗駒山の中腹に位置する栗原市耕英地区で、特産の「耕英だいこん」が収穫の最盛期を迎えている。高原の冷涼な気候を生かした、歴史のあるブランドダイコンで、栽培を継承する同地区の大場浩徳(ひろのり)さん(60)は、一層の高品質生産を目指す。
大場さんは妻の明子さん(54)と畑80㌃でダイコン5品種を栽培する。
県内の平地では、8月下旬に播種し10月から収穫することが一般的だが、夏でも涼しい耕英地区では6月中旬に播種し、収穫は8月中旬から10月にかけて。「ダイコンが出回らない時期に市場に出荷されるので需要が大きい」と大場さん。「高原特有の寒暖差で甘味と柔らかさが増し、消費者からも好評だ」と話す。
最盛期は50軒ほどの農家が栽培していたが、2008年に発生した岩手・宮城内陸地震を機に高齢化していた農家が離農。現在は4軒まで減少した。
「就農し42年、父親からダイコンの栽培技術を教わり、地域の仲間との情報交換や自ら試行錯誤して、向上させてきた」と大場さん。
防除も徹底し、全ての農地に作付けせず、輪作体系を実践する。ライ麦を緑肥としてすき込み、センチュウなど病害虫への対策を万全にすることで、白くて表面がきれいなダイコンが生産できるという。
耕英だいこんは市内の直売所や庭先販売のほか、仙台市内の「元気くん市場」で販売する。
大場さんは、仙台方面からわざわざ買いに来てくれる人がいることがやりがいとなっている」といい、「これからも、消費者の期待に応えられるような品質、味の耕英だいこんを提供していきたい」と力を込める。
▽ダイコンの他に露地イチゴ15㌃、野菜10㌃(佐々木貞)