農業共済新聞記事バックナンバー
「焼き芋でみんなを笑顔に」
【石巻市】「家族みんな焼き芋が大好き。好きなことを追及して進んできたら、焼き芋屋になっていた」と話す石巻市の柏宏幸(かしわ ひろゆき)さん(40)は、焼き芋専門店「おいも家」を営む。自家産サツマイモの焼き芋を、同市内を中心に県内各地で移動販売する。「みんなが笑顔になって、身も心も温まってほしい。柏さんは話す。
農業経験が無かった柏さんだが、2020年4月、畑を借りてサツマイモの栽培を始めた。
「貿易関係の仕事をしていたとき、日本の食料自給率の低さや廃棄率の多さに驚き、不安を覚えた。十数年後、知人にこのことを話したのがきっかけで畑を貸してもらうことになった」
「もしも海外からの輸入が途絶え、食料危機が訪れた場合、次世代の食べ物が無くなるのではないかと心配になった」と自給の重要性を考える。
そして、「多くの方にお世話になり、今の自分がある。そのご縁に感謝している」と話す。
同年10月に焼き芋専門店を始め、21年10月には移動販売車を稼働させた。焼き芋は、農薬不使用で自家栽培した「べにはるか」「安納芋」など数種類の他、同市内の農家から仕入れている。
柏さんは、収穫したサツマイモを徹底した温度管理のもとで1カ月以上貯蔵し、でんぷんが糖に変わるのを促す。熟成後、芋の状態を見極めながら、低温で約2時間かけて焼く。「時間を掛けて焼くことで蜜があふれ出し甘味が増す。おいしいと言ってリピートしてくださるお客さまの笑顔が自信になる」という。
「今後は夫婦でカフェを開き、丹精込めて作ったサツマイモを使ったスイーツを販売したい」と柏さん。「目標は、規格外のサツマイモを、さまざまなものに加工販売し食品ロスを減らすこと、さらに、就職、農福連携の分野に進められれば」と夢を広がる。
▽「おいも家」出店情報はSNS(会員制交流サイト)に掲載 (日野)