農業共済新聞記事バックナンバー
「基本を大切に健全酪農」
【大崎市田尻】「家族の協力があってこそ、家族を中心とした経営ができる。無理をせず、楽しみながら経営していきたい」と話す大崎市田尻の株式会社エスエーシー代表取締役・関場(せきば)渉太(しょうた)さん(28)。家業の酪農で目標だった法人化を実現し、日々奮闘している。
関場さんは、2014年に県農業大学校畜産学部を卒業と同時に就農し、家業の酪農経営に取り組んだ。
就農時から飼養頭数の増頭と法人化を目標としてきた関場さん。2019年10月に「株式会社エスエーシー」を設立した。
昨年の3月には、国のクラスター事業を活用して、124頭飼養できる牛舎と堆肥処理施設などを建設、現在は家族を含めた従業員8人で乳牛130頭を飼養し、牧草やホールクロップサイレージ、稲わら収集などの管理も行う。
畜産経営で特に力をいれるのは繁殖管理。導入したばかりの初妊牛が多く、分娩(ぶんべん)後に定期的に発情を同期化する。牛の状態や血統、掛け合わせを考えながら、計画的に生産(ホルスタイン種、黒毛和種、交雑種)することで、安定した乳量の確保と後継牛の育成、黒毛和種子牛生産による収入の増加ににつなげるという。
「頭数が増えても1頭ごとのこまめな観察を怠らず、基本の飼養管理を徹底し、繁殖成績の向上と1頭当たり平均8500㌔の年間乳量を1万㌔に増加させたい」と関場さん。
今後の課題として、ふん尿処理と、飼料価額の急激な上昇への対応を挙げる。「草地をできる限り増やして、堆肥を農地へ還元し、粗飼料自給率を上げ購入飼料の割合を減らしていきたい。今後の増頭も見据え、牛舎も増設できれば」と意気込む。(大友)