農業共済新聞記事バックナンバー
「新たな魅力を発信」
【山元町】「ワインでイチゴの新たな魅力を発信したい」と話すのは、山元町の「山元いちご農園株式会社」の代表取締役を務める岩佐(いわさ)隆(たかし)さん(66)。イチゴの栽培からワインの製造・販売まで取り組み、ワインのおいしさを追求している。
山元いちご農園は、1㌶の大規模施設で「もういっこ」「にこにこベリー」「とちおとめ」を栽培する。
岩佐さんは、「イチゴの新たなおいしさを多くの人に知ってもらいたい」との思いから、事業の一つとしてワイン製造に取り組むことを決めた。イチゴ加工品の多くは大量生産のためにエキスや香料を使い人工的な味付けのものが多い。納得できるワインを造るために醸造所(ワイナリー)を敷地内に建設した。「原料から製造まで一貫して自社で行うことで品質管理が目の届く範囲ででき、質の高いワインを製造できることが強みだ」と話す。
イチゴは加工日の朝に収穫・選別し、実が傷まないようにへたを一つ一つ手で取る。720㍉㍑のワインを造るために約1㌔のイチゴを使用し、3カ月かけて醸造する。
原料の処理方法や醸造時の発酵条件など、製造は宮城大学の協力を得て、2016年に3種類のワインの商品化にこぎ着けた。
出来上がったワインは甘さと飲んだ後に残るさわやかな酸味と香りがバランス良く感じられる風味が特徴で、岩佐さんが目指す「イチゴ本来の味」が感じられるワインと好評だ。
現在販売するワインは、「苺香(いちかおり)」「咲苺(さきいちご)」(720㍉㍑2840円)など、アルコール度数、甘さ、酸味、香りの違う4種類にスパークリングワインを加えた5種類を併設の直売所「ベリーベリーラボ」とネットショップなどで販売している。
▽山元いちご農園=0223(34)4356(遠藤良)