農業共済新聞記事バックナンバー

「新たな観光名所に」

【栗原市】「バナナの栽培で栗駒山麓を新たな観光スポットにしていきたい」と話す栗原市栗駒の佐藤武之さん(69)。建築業の傍ら「山さんファーム」を立ち上げ、南国作物のバナナの農薬不使用栽培を成功させた。

佐藤さんは「岩手県北上市のバナナ農家を紹介したテレビ番組が心に残り、栽培を始めた」と話す。
 建築のスキルを生かし、木材を骨材とした66平方㍍のビニールハウスを自宅敷地内に建設。また、北上市の農家の元で約2カ月間実習し、栽培ノウハウを身に付けたという。
 2021年4月に定植した11本の苗は、9月に花を咲かせ3月に初収穫を迎えた。
 栽培する品種は「グロスミッシェル種」の一種で、岡山県産「もんげーバナナ」と同種。凍結解凍覚醒法(細胞塊をマイナス60℃で凍結させ、解凍する)で耐寒性が高められた苗を採用することで栗原市での栽培を可能にした。
 1・5㍍四方を1㍍の深さまで掘り、元肥と大量の腐葉土で土を入替え、中央に定植する。普段の管理は、玄米由来のアミノ酸液を週2回葉の裏に丁寧に散布し、栗駒山麓のきれいな沢の水を夏場は4日ごと、冬場は10日ごと1株に80㍑与える。「皮ごと食べられるように農薬や化学肥料は一切使わず育てている」と自信を見せる。
 栽培で一番の苦労は温度管理で、冬は15度以下にならないよう加温し、夏は葉焼けを防ぐために35度以上にならないように調整している。
 ハウス内の加温には薪(まき)ストーブと石油ストーブを併用し、建築資材の廃材を薪に使用することでコスト低減を図る。土中には湯導管を埋設して冬季の土壌の凍結防止を怠らない。
 「今期は栗駒のバナナ栽培を多くの方々に知ってもらい、来期からは販売もしていきたい」と佐藤さん。7月にはビニールハウスを新たに建設する予定があり、バナナ栽培の規模拡大のほか、パパイアとコーヒーの木を定植する予定だ。
▽問い合わせ先=佐藤さん(080‐1837‐2917)(佐々木貞)

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