農業共済新聞記事バックナンバー
「変わらぬ味を届けたい」
【大和町】「お客さんからおいしかったよと電話をもらったときは、続けていてよかったと思う」と話す大和町小野の熊谷まき子さん(73)。自家産野菜の漬物や味噌(みそ)など加工食品の製造を家族で行い、始めたときから変わらない味で購入者から親しまれている。
熊谷さん方では、水稲(発酵粗飼料用稲含む)15㌶、畑(ハウス12棟含む)1㌶を家族4人で営む。
まき子さんは、「30年ほど前、JAの朝市で野菜を売っていたとき、漬物などに加工することで売り上げが上がることを知った。それをきっかけに始めた」と話す。
1993年に自宅を建て直す際、解体した建物の廃材を利用し、加工場を建設。漬物や味噌など加工食品製造を本格的に開始した。
年間を通して販売する漬物は、自家産の季節野菜を使用。夏は主にキュウリやナス、冬はハクサイやダイコンをぬか漬けや酢漬けなどとして加工する。
「漬け方は誰から教わったわけではなく、いろいろな人の漬け方を参考に独自で考えた」とまき子さん。「しょっぱすぎず長く食べ続けてもらえるよう調整して仕込みを行う」と話す。
最近はぬかを使用しない漬物に挑戦。「塩と砂糖だけで、味がまろやかになり、ぬかを使用しないので独特の臭みがなく食べた人からおいしいと言われる」と手応えを感じている。
味噌は宮床地区の3軒の有志で製造を行う。地元黒川郡内産の大豆を使用し、12月から6月にかけて年間約12㌧を仕込み、1年間熟成させて販売する。その他に自家産のもち米を使用した切り餅や、春限定で販売する草餅は購入者から好評だ。
まき子さんは「体が続く限り頑張りたい。いずれは息子夫婦に継いでもらいたい」と将来に期待を寄せる。(鈴木)