農業共済新聞記事バックナンバー

「復興の力に『仙台金時』」

【名取市】名取市北釜地区でサツマイモを生産販売する「仙台金時株式会社(代表取締役・浜松彰宏(あきひろ)さん=58歳)」は、約2㌶の畑でサツマイモを栽培。2015年に「仙台金時」とブランド化し、全国各地に出荷する。同地区に開設した直売ハウス「金時村」では生芋の他、焼き芋やオクラなどの農産物を販売し、地域農業の活性化を目指す。

徳島県出身の浜松さんは、東日本大震災の被災地支援で名取市を訪れた際、地元農家からサツマイモ栽培を勧められたことがきっかけだったという。沿岸部の北釜地区は砂地で塩分を含んでおり、サツマイモの生育に適していた。
 浜松さんは元々農業とは無縁だった。一から農業のノウハウを学び、2018年には、7年の歳月をかけてサツマイモを初出荷。「小ぶりで食べやすいため、老若男女問わず多くの人に食べてほしい」と話す。
 会社名にもなっている「仙台金時」は「高系14号」を改良したもので、ねっとりとした甘みと繊維質の少なさが特徴だ。
 現在、「仙台金時」「安納いも」「べにまさり」「ふくむらさき」の4種類を栽培していて、来年は新品種「あまはづき」を導入予定。貯蔵期間が不要で高い糖度が出る注目の品種だという。
 浜松さんがサツマイモ栽培で最も重要視しているのが苗作りだ。県産の種芋だけを使用して生産したウイルスフリー苗を15万本準備し、基腐病に感染するリスクを大幅に減らす。収穫後の殺菌処理は、温度33度、湿度90%で100時間キュアリング処理し、糖度が高く腐りづらいサツマイモに仕上げている。
 収穫は9月上旬から11月上旬。翌年5月まで直売所、県内のスーパーで販売する。
 浜松さんは「仙台金時を新しい特産品にするため販路を拡大するとともに、栽培技術やノウハウを新しく農業を始める人たちに伝えていきたい」と話す。
 ▽金時村=090(3750)5678  (遠藤雅)

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