農業共済新聞記事バックナンバー
「サボイキャベツを独学で栽培」
【仙台市】「サボイキャベツは肉厚で味が濃くスープに絡みやすいのでロールキャベツやポトフなどの煮込み料理として使われる」と話すのは、仙台市太白区中田の小田嶋晃治さん(45)。国内では珍しいサボイキャベツを生産し、魅力を発信する。
「20年前に両親がサボイキャベツ栽培を始めたのがきっかけだった」と晃治さん。現在は、両親と妻の紘子さん(38)の4人で水稲8・7㌶、野菜を露地1㌶、ハウス7棟14㌃を手掛け、中でもサボイキャベツは年間10㌧を市場へ出荷する。
サボイキャベツは欧州原産の野菜で、フランスやイタリアで一般的に食べられている。葉が縮れている見た目から、日本ではチリメンキャベツとも呼ばれる。
「栽培当初は失敗の連続だった」と晃治さん。「病気などで何度も全滅した。他に栽培している人がいなかったので、一般的なキャベツや花などの技術を調べてサボイキャベツの栽培に生かした」と独学での苦労を話す。
秋栽培だけでなく、春栽培にも取り組んでいる。サボイキャベツは高温多湿に弱く病気の耐性も低いためすべてにおいて肥培管理が難しい。晃治さんは「一般的なキャベツより成長のばらつきが大きいので収穫が長引かないように努力をしている」と話す。
機械を導入したり、栽培期間が短い品種「クリスピーノ」を採用したりすることで安定した生産を実現している。
6月中旬から、紘子さんと2人で収穫し、JAを通して東京へ出荷。都内のレストランなどで提供されている。
晃治さんは「苦労や失敗が多いが、成功すれば一般的なキャベツより高値で売れる。希少性が高く、生産者も少ないと思われるので、需要に応えていきたい」と意気込む。(鈴木)