農業共済新聞記事バックナンバー

「ふるさとの味を守り、伝える」

【色麻町】「ふるさとの手作りの味を次代まで伝えていきたい」と話す色麻町の新田農産加工代表の福田長子(ふくだ ながこ)さん(63)、本田きくゑさん(75)、山崎清子(やまざき せいこ)さん(71)。農業を営む傍ら新田集落センターに隣接する加工場で、昔ながらの味噌(みそ)と塩こうじを製造販売し、地域の活性化を目指している。

新田農産加工は、町の事業として1983年に集落センターの改築に合わせ加工場を設置した。これまで地区の有志で味噌造りを受け継いできた。2007年に福田さんが代表に就任し、先輩たちから受け継いだ製法で味噌を15年間造り続けている。
 商品の「御膳みそ」の材料は米、大豆、食塩だけで添加物を使用しない。米は色麻町産「ひとめぼれ」、大豆は宮城県産「ミヤギシロメ」を使用し、3人で手際よく作業する。
 「3人のチームワークが重要。息を合わせて作業し、味噌の仕上がりを見極めていく」と山崎さん。
 味噌の年間生産量は約1400㌔で、1㌔当たり550円で販売。地元の学校給食へ提供するほか、地元直売所、町の「ふるさと福袋」や個人販売もしている。本田さんは、「真心こめて造った味噌をぜひ食べていただきたい」と笑顔で話す。
 味噌造りはまず米を洗い1日おく。米をふかし、冷ましてこうじ菌と混ぜ、専用の機械で2日間寝かせ米こうじができる。できた米こうじに、煮て1日おいた大豆と食塩を手作業でまんべんなく混ぜていく。機械で練り、おけに入れて約1年間熟成させて完成する。
 「大豆や米の品質に気を配り、味噌の出来を均一にするように水分調整や米こうじの具合を細かく確認する」と福田さん。「先輩方から引き継いだ昔ながらの製法で、ふるさとの味を守っていきたい」と抱負を話す。(本田)

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