農業共済新聞記事バックナンバー
「サンゴ由来の肥料で米作り」
【栗原市】栗原市一迫の株式会社遊佐では、食味の向上、米生産の差別化のために約20年前から「さんご米」の栽培に取り組んでいる。代表取締役の遊佐一成(かずなり)さん(54)は、「耕起前にミネラル・カルシウムを多く含むサンゴの成分が入った肥料を散布することで、食味が向上する。カリウムの成分により米を炊くときの熱の入りが良くなる」とアピールする。
同社は、水稲19.9㌶、キク20㌃を栽培するほか、自社工場でブロッコリースプラウトを年間7.5㌧出荷する。「個人経営では安定生産を持続できない」という思いから2019年3月に法人化し、食味・生産性の安定を常に心掛ける。生活協同組合や通販サイト「Amazon」での販路を築き、農産物を年間通じて販売する。
「米の品質での差別化への取り組みを模索していた」という遊佐さん。先代のころから付き合いのある取引業者から薦められたサンゴ由来の肥料に着目し、さんご米の作付けを開始した。
「独自の栽培方法を確立させることは容易なことではなかった。水稲は年1回の作付けなので、圃場ごとに移植時期や肥料を変えながら栽培するなど、試行錯誤を重ねてきた。年間を通して品質を落とさず、お客さまにおいしいと感じてもらえる商品をモットーに米をはじめ作物を生産してきた」と自信をのぞかせる。
さんご米の新商品開発にも積極的な同社では、「白雫~SHIZUKU~」を発売。「さんご米を、より大きなふるい目を使用し、他商品との違いを出した」と話す。
「農業は天候や自然災害などに左右される。これまで、積み重ねてきたものを生かして、安定した生産を目指す。失敗の原因を明らかにしながら、自分なりの農業の形を追求していきたい」と意気込む。(狩野颯)