農業共済新聞記事バックナンバー

「茶復活にチャレンジ」

【川崎町】「『川崎茶』が町の特産品になってほしい」と話す川崎町の「茶舗 福ノ葉堂」の山﨑杏美(やまざきあみ)さん(35)。地元のNPO法人とともに農地10㌃で茶樹を約900本栽培し、町産茶の復活に取り組み、地域の活性化を目指す。

山﨑さんは同町の地域おこし協力隊として、5年前に横浜市から移住した。活動をきっかけに川崎町に茶の木があったことを知る。同町の古関地区では、約130年前まで茶の木が栽培されていたが、現在では庭木としての植栽程度で、栽培している人はいない。「川崎町に元々あったものを復活させたい」と4年前から、在来品種のほか3品種の栽培に携わる。
 4月に整枝作業と施肥を行い、6月と8月に手作業で茶葉を摘む。夏から秋までは除草が作業の中心になる。「農薬を使用しないため除草作業、害虫駆除には苦労している」と山﨑さん。
 また、今年の春先は新芽が霜により大きな被害を受け、「自然の厳しさや栽培の難しさを痛感した」と話す。
 山﨑さんは日本茶インストラクターの資格を取得し、同町の古民家を改修して、今年4月中旬、福ノ葉堂をオープンさせた。同店では、在来品種を紅茶に加工し「川崎茶」として提供する。
 摘み取った茶葉を発酵させ、紅茶に加工する段階で、発酵の温度や時間は何度も試行錯誤を重ねた。川崎茶は厳しい冬の寒さを乗り越えたことによる茶葉の甘みが特徴で、紅茶独特の渋みが少なく飲みやすいという。
 地元の人に、町内での茶栽培を知ってもらいたいと、茶摘みから緑茶作りの工程を体験できる活動も行っている。
 「福ノ葉堂が地域の憩いの場となり、川崎茶で地域の活性化につながれば」と期待を寄せる。
 ▽福ノ葉堂=☎090(8053)1223 (本郷)

ページ上部へ