農業共済新聞記事バックナンバー

「夢かなえて牛飼いの道」

【大郷町】「牛は1頭1頭、表情豊かで違うのがおもしろい」と話すのは大郷町粕川の遠藤花凜(かりん)さん(21)。繁殖牛8頭を飼養する祖父・赤間利行(としゆき)さん(74)の下で、夢だった畜産の仕事に今春就き、日々奮闘している。

幼い頃から小動物が好きだった花凜さん。「大きな動物は近づくのも怖くて苦手だったけど、中学生のとき、仙台市の乗馬クラブで馬とふれあってから大型動物も好きになった。祖父の家に遊びに行くたびに牛とふれあうことで、将来はここで働きたいと思うようなった」ときっかけを話す。
 県農業高等学校へ進学し、畜産業を営むために必要と考え、フォークリフトなどの免許や、牛舎を建てるための溶接の資格などを取得した。その後、牛について深く研究がしたいと岩手県立農業大学校へ進み、家畜人工授精や削蹄、繁殖・肥育の一貫経営などについて2年間学んだ。
 卒業前の2月には宮城に戻って祖父母と一緒に住み、牛舎での餌やりや、乾草集めなどの作業を行っている。
 花凜さんは「学校では牛を群飼いしていたが、ここは単飼方式なので、発情の見分け方など学校で学んだことと実際には違うこともある。分からないことは祖父から細部まで教わりながら作業をしている」と話す。
 牛を市場に移動するとき、牛に引っ張られてしまうなどの苦労もあるが、花凜さんの働きぶりについて利行さんは「やる気があってとても頼もしい。将来が楽しみ」と期待する。
 現在、牛の世話と並行して祖父と一緒に隣接の敷地に新たに牛舎を建設中で、間もなく完成予定だ。
 「今後は、新しい牛舎が完成したら、増頭して、少しでも高い評価が得られるような牛をたくさん育てていきたい」と花凜さんは決意を話す。(鈴木大)

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