農業共済新聞記事バックナンバー
「完熟を直売」
【名取市】「甘くておいしい完熟トマトを食べてもらいたい」と話す名取市の「美食農園ラ・ファータ」の半澤瑛司(えいじ)さん(39)は、名取市内の北釜地区と上余田地区に園芸ハウス(計60㌃)を設置し、大玉トマト「麗月(れいげつ)」など4品種を栽培する。ハウスそれぞれに直売所を併設し、取れたて、新鮮、完熟を売りに自家産トマトの魅力を発信する。
2015年に設立した美食農園ラ・ファータでは、大玉トマトを主体に生食用の栽培と、加工品(トマトジュース)製造を、従業員7人と手がけ、併設の直売所で販売するほか市内外の飲食店に出荷する。
米作りを行っている半澤さんは「自宅の育苗ハウスをその期間以外にも有効利用したい」とトマトに着目し、独立ポット型養液土壌栽培に取り組んだ。黒いポットにはANS培地(人工団粒構造培地)を使用。センサーを用いて必要最低限の水と肥料で栽培が可能となる。
半澤さんは2ヶ所のハウスで年間約2万5千個のポット苗を栽培し、低段密植栽培を実践する。土壌病害がまん延するリスクが少ないため管理がしやすいという。
トマトは11月から翌年7月ごろまで販売。「寒暖差の中でじっくり時間をかけて育てたトマトは3月、4月ごろが特に甘みがあり、おいしいので皆さんに食べてほしい」と半澤さんは話す。
収穫したトマトの7割は併設する直売所で1袋500円で販売している。近所の住民や県外からの購入者などリピーターが多く、1日に300袋が完売する日もある。トマトジュース(720㍉㍑・千円)は「完熟トマト本来の味わいと甘みが凝縮された一品」と購入者から好評だ。
半澤さんは「トマトの収量を維持して、より高品質なトマトをたくさんの方に届けたい」と抱負を話す。(高橋康)