農業共済新聞記事バックナンバー
「胴割れを克服」
【大崎市古川】ササニシキ系米のおいしさを競う「第6回全国ササニシキ系『ささ王』決定戦2022」が昨年11月に開かれ、「ささ結」を出品した大崎市古川の関孝浩さん(65)が第6代「ささ王」に選ばれた。第4代ささ王に続いての受賞となり、関さんは「ささ王に恥じない米作りをしていきたい」と話す。
ささ結の品種名は「東北194号」。県古川農業試験場が「ササニシキ」と「ひとめぼれ」を交配させて開発した。大崎市は独自に愛称をささ結とし、2015年秋に市場デビューした。
ブランド展開では、農薬や化学肥料の使用を県の慣行栽培基準の半分以下とし、追肥を行わないなど栽培基準を定め、さらに、出荷時の検査で玄米タンパク質含有率が6・5%以下の米だけがささ結として流通する。
粘り気が少なくあっさりした食味と、耐冷性を兼ね備え、冷めてもおいしく食べられるのが特徴で、特にすしなどの和食と相性が良い。
「良質米生産のため、昨年は胴割れ米対策に力を入れた」と関さん。「一昨年は胴割れにより等級が落ち、出品すらできなかった」と振り返る。
胴割れ米対策を模索する中で農研機構の研究成果を参考に、登熟初期の高温期を回避するよう田植え時期を後にずらし5月20日前後に田植えを行い、出穂後10日間は圃場内地温を下げるために水のかけ流しを行った。また、砂壌土で地力の少ない圃場を選び作付けすることで、玄米タンパク質含有率の低い米の生産につなげた。
そのような改善策が実を結び、22年にささ王に返り咲いた。
関さんは、「関係する皆さんのおかげ。ささ結の知名度はまだ高いとは言えないので、ブランド力向上のため良質米生産を続け、盛り上げていきたい」と抱負を話す。(大友)