農業共済新聞記事バックナンバー

「目指すは産地化」

【石巻市】サツマイモの栽培、加工、販売まで手がける石巻市の「株式会社KANAN FARM」がこのほど、カフェ「Oimoya Jack」を東松島市赤井にオープンさせた。自社店舗の開業で、農業経営の安定と地域農業の発展を目指し、サツマイモの産地化に名乗りを上げる。

同社の鈴木貴郎さん(43)は「稲作中心だったが、米価低迷や資材高騰などの厳しい現状を踏まえ、米作りにプラスする作物を模索した」と話す。
 サツマイモを選択したきっかけは、知人がサツマイモの栽培から商品化、販売までの一貫経営に取り組んでいたこと。鈴木さんは農家仲間の菊地孝也さん(43)、柏宏幸さん(41)を中心に10人で会社を立ち上げ、2019年に石巻市蛇田地区で「べにはるか」栽培を始めた。
 栽培地の確保から土壌改良、栽培方法を学ぶと同時に商品化や出店の準備を進めてきた。「当初は手探り状態で、購入した定植用農機具の使い方が分からず、試行錯誤の連続だった」と鈴木さん。
 栽培では肥料・農薬を使用せず、昨年は1・3㌶を定植し、15㌧ほど収穫した。作付面積、収穫量ともに増え、品質にも自信が持てるようになったという。
 収穫後に専用コンテナ内で一定期間保存・熟成し、柏さんが焼き芋専門店を営んでいた経験を生かして、丹精込めて仕上げ、イベント会場などへ出向いてキッチンカーで販売する。
 東松島市で営業するカフェでは、大学芋や干し芋、チップスにブリュレ・シェイクなど、豊富なメニューを展開。店の前には焼き芋専用コーナーを設けている。オープン以来連日大盛況で、大勢の人がべにはるかを堪能し、「芋の甘さ、おいしさが際立っている」と口をそろえる。
 鈴木さんは、「サツマイモの魅力をいろいろな形で発信するほか、栽培面積の拡大、耕作放棄地解消に努めたい」とし、加えて「6次産業化を強化して農業経営の安定、地域農業の発展、さらには一大産地を目指したい」と意欲的に話す。
 ▽Oimoya Jack=東松島市赤井新川前23の8(☎050・8887・2338)
(千葉貴)

ページ上部へ