農業共済新聞記事バックナンバー
「まろやか、素朴に」
【涌谷町】「自家産野菜を漬物に加工して販売することで消費者に食べて喜んでもらいたい」と話す涌谷町の佐々木弘美さん(59)は、自家産の野菜を使用した漬物を、地元のわくや産直センター「黄金(くがね)の郷(さと)」などで販売する。素朴な味は、地元客をはじめ、町外から訪れる購入者にも人気だ。
佐々木さん方では、ビニールハウス5棟でキュウリやナス、トマトなどを作付けるほか、砂地8㌃でナガイモ、露地25㌃でハクサイ、ダイコン、ツケナなど年間約10品目を、夫と2人で栽培している。
野菜は20年前からJAに出荷していて、弘美さんは「規格外などで出荷できない分は自宅でも食べきれず、もったいないと思っていた。直売所の仲間からの後押しがあり漬物加工を手がけた」ときっかけを話す。
商品はミックス漬け、キュウリのからし漬け、ハクサイ漬け、人気商品のナガイモの醤油(しょうゆ)漬けなど年間約15種類。自家産野菜に加えて、直売所の出荷仲間が栽培した野菜を使い、製造の都度、色のバランスを考え工夫している。「商品の見栄えや色合いが良くなるよう、紫ダイコンを栽培するなど栽培品目を選んでいる」という。
味付けには美里町・鎌田醤油株式会社の醤油を使用していて、「味全体のまろやかさを表現している」という。そのほかの調味料に加えて、昆布の出汁(だし)を使用する。「昆布は出汁をとりやすくするため、お湯につけてやわらかくする。昆布の優しい味が野菜に染み込み野菜本来のおいしさを引き出し、自然で素朴な味に仕上がるため好評だ」と弘美さん。
「今後もおいしい漬物を作り、種類を増やすよりも店舗に納品する数を増やして需要に応えていきたい。お客さんが食べて『周りの皆さんにも食べさせたい』と思ってもらえたらうれしい」と笑顔で話す。(髙橋千)