農業共済新聞記事バックナンバー

「にぎわい集まるパン屋さんに」

【東松島市】東松島市赤井地区ののどかな集落の人々に見守られて開店した「TAROBAKERY(タローベーカリー)」が一周年を迎えた。同市で生まれ育った店主・本田竜太郎さん(34)は、被災地で復興に向かう人たちの姿を見て、この地に開業することを決意し、日々奮闘する。

「パン店に勤務していたときに震災を経験し、県内でも被害の大きさに開きがあることを痛感した」と本田さん。「「被害の大きかった東松島市に根付き、地元の食材を使ったパンでこの土地の人たちに喜んでもらいたい」と考え、開業した。
 パンの製造から長く離れていたため、小麦について一から勉強し試行錯誤した。相談にのってもらったのは同市「有限会社アグリードなるせ」の取締役会長を務めている安部俊郎さん66)だ。
 本田さんは現在、アグリードなるせが栽培から製粉まで行った中力粉品種「夏黄金」を使用。表皮と胚芽が含まれる全粒製粉のため、栄養価の高さが評価されている。 
 「夏黄金は、香りや甘味が際立ちパンが軟らかく仕上がる」と本田さん。さらに「地元産の小麦を使うことで、東松島市のことをたくさんの人に知ってもらうことができる」と思い、地元産の夏黄金を使用することを決めた。 
 TAROBAKERYのメニューにあるあんぱんの小豆は地元産ではなく北海道産だが、以前、和菓子店であんを炊いていた経験を生かし、丁寧に製造している。市販のあんとは違い、手作りならではの味を引き出すことができ、人気商品となっている。
 「今後はたくさんの人にTAROBAKERYについて知ってもらい、地元以外の人が東松島市に足を運んでもらうことができるように努力し、自分なりに復興支援の後押しをしていきたい」と意気込む。(佐藤祐)

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