農業共済新聞記事バックナンバー
「農の魅力を次世代へ」
【白石市】「あれもこれも色んなことにチャレンジしていきたい」という思いから白石市で「あれこれふぁーむ」を経営する伊藤愛さん(26)と佐藤美紗さん(26)。14㌃で水稲、25㌃でジャガイモやニンジンなど野菜20品目を栽培し、販売している。環境に配慮した循環型農業に取り組み、農業の魅力を若い世代に発信する。
2人が農業に関心を持ったのは大学時代。それぞれが授業やサークルで福島県の農業・農家と関わったという。伊藤さんは授業で南相馬市での野菜作りを体験、佐藤さんはサークル活動でニ本松市の農家を巡った。農業に興味を持った2人は卒業後、社会人2年目の年に、働きながら週末農業を始め、2021年にあれこれふぁーむを設立した。
伊藤さんは「農業をする中で、分解されづらい資材を使うと処理が大変だと感じ、環境に配慮した農業に取り組み始めた」と話す。高齢化や鳥獣被害によって増えている耕作放棄地を活用し、循環型農業に取り組んでいる。
「プラスチックの使用を減らすためマルシェでは、野菜を段ボールで販売し、新聞紙で持ち帰り用のバッグを作成した。無理なくできるところから始めた」と佐藤さん。「農薬や化学肥料を使わないことで、土地を”生きたまま〟残し、次の世代まで受け継がれる田畑にしたい」と話す。
野菜の栽培過程や収穫の楽しさを多くの人に知ってもらいたいと、コロナ禍は無料アプリ「LINE」で成長過程を配信するサービスを行っていた。「コロナの行動制限が解除された今年は、収穫体験イベントを予定している。親子連れや農業に少しでも興味がある方に、農業を楽しむきっかけとなる場所を提供したい」と意欲的だ。
「交流サイト(SNS)などを活用し、これからの農業を担う若い世代に、自然豊かな田舎の魅力を発信していきたい」と笑顔で話す。(川村)