農業共済新聞記事バックナンバー
「くん炭製造時の廃熱利用 アボカドに挑戦」
【登米市】「南国で栽培されるアボカドの国産流通が目標だ」と話すのは登米市米山町の「ファーム宮田」代表取締役の佐藤安憲(さとうやすのり)さん(64)。宮田建設株式会社の農業部門として2017年に立ち上げ、建設業での排出エネルギーを有効活用した循環型農業としてアボカド栽培を行っている。
宮田建設はもともと暗渠〈あんきょ〉排水や圃場整備に携わっていた。工事資材としてもみ殻を使用していたが、震災後、大規模な工事が終了したことに伴い、大量のもみ殻の活用を思案し、土壌改良用のくん炭を製造することになった。さらに、燻蒸〈くんじょう〉作業で出る熱をハウスの加温に利用。このハウスは以前から「南国フルーツを栽培してみたい」と構想を練って建てたものだという。
現在はアボカド(30本)の栽培のほか、竹炭・くん炭製造、ニンニク生産、黒にんにくの製造も手がけ、建設業での物資やエネルギーを農業部門で有効活用する。
アボカドは2020年に苗木20本から栽培開始。ハウス内での根域制限栽培で、冬場でもマイナス5度を下回らないように管理を徹底する。品種は「メキシコーラ」「ベーコン」のほか7種類を栽培し、2022年度は1個、昨年度は59個収穫した。「露地では1本から100~200個は収穫が見込める。成木が楽しみだ」と笑顔で話す。
今後はアボカドに限らず、マンゴーやパイナップルなどの栽培にも着手する予定。「廃熱利用温室がうまく稼働していけば、東北の寒さでも南国フルーツを栽培できるという希望が持てる」と話し、「若者が農業に夢を持って活動できるように、自らが先陣を切って挑戦を続けていきたい」と展望する。
(伊藤恵)