農業共済新聞記事バックナンバー

「『植物工場』で待遇改善」

 【美里町】「全国の皆さんの先駆けになれるよう頑張りたい」と話すのは、社会福祉法人チャレンジドらいふ副理事長の早坂勇人(はやさかゆうと)さん(41)。同法人は今年3月、日本財団主導のもと、一つの就労継続支援B型事業所を廃止し、利用者を従業員として雇用する一般事業所「ソーシャルファーム大崎」を美里町に開設、植物工場を建設した。

同ファームは、国内で初めての「脱福祉プロジェクト」で、廃止したB型事業所の利用者も含め、11人が就労。働く時間は変わらないが、工賃が県の最低賃金に変わったことで、「従業員は以前の6倍近い給与を受け取ることができ、やりがいも増えた」という。
 植物工場のノウハウをもつ三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社が工場の設備や技術の提供を行っていて、現在14棟のビニールハウスでホウレンソウの水耕栽培を行っている。一日に2700株の収穫を行い、年間で54㌧の出荷を目指す。
 同ファーム大崎工場長の菊地真寿美(きくちますみ)さん(53)は「ホウレンソウは病気や菌に弱いため、清潔を保つよう工夫しながら徹底して行っている」と話す。
 定植前にタンクの水の温度を50度まで上げて一時間殺菌し、水の入れ替え後にバイオ液肥を入れてから定植を行う。収穫後は、根を取った後に次亜塩素酸ソーダを入れ、水を循環させる。
 また、苗トレーは60度のお湯で40分間洗浄と殺菌を行い、この作業を行う班はハウスの中に菌を持ち込まないよう、その日は定植・収穫班とは別の出入り口を使用する。
 菊地さんは「今後も従業員が自分のできる仕事に誇りを持っていけるようサポートしていき、おいしいホウレンソウを作りたい」と笑顔で話す。(石山)

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