農業共済新聞記事バックナンバー
「サツマイモ栽培の普及に尽力、産地化目指す」
【加美町】「サツマイモ栽培が地域で普及し、転作作物の一つになればいい」と話すのは加美町小泉地区の有限会社ライスアーティスト代表取締役の三浦良人(ながと)さん(46)。県が推奨するサツマイモ栽培の普及に努め、産地化を目指している。
近年、焼き芋や干し芋などの加工や海外への輸出品目としてサツマイモの需要が拡大。県でも2026年までに作付面積100㌶、10㌃あたり2・5㌧の収穫量を目標としている。
同社は、主食用米を15㌶作付けし、サツマイモは「べにはるか」、「シルクスイート」、「ゆきこまち」など10種類を2・5㌶作付け、JA出荷のほか小売りと個人販売を行っている。
三浦代表は農業歴24年で、1995年に父の英典さんが同社を設立し、その後経営を受け継いだ。
サツマイモは寒冷地での栽培が難しいとされていたが、三浦代表は2010年から栽培を始め、加美町でも栽培ができると確信し、5年前から規模拡大を進めてきた。
栽培は、2月から自家産の苗作りから始まり、4月に畑の耕起と施肥をしてマルチを張り、稲作と時期をずらしながら6月中に圃場に定植作業。定植後は上穴からの除草作業をこまめに行い、10月から11月末まで収穫。収穫直後は甘味が少ないが、貯蔵することで甘みが増すため、2か月間貯蔵管理をしてから出荷、販売する。
「自家産の種苗だけでなく、品種によっては全国から取り寄せて手作業で定植する。除草作業は必要だが、栽培管理は少なめで、稲作と重ならずに作業ができ、冬場の収入源につながる」と栽培の利点を話す。
県の普及拡大に合わせ、JAも地域内で先進的に栽培に取り組む同社のノウハウを共有するため、研修会や技術交流を実施し、栽培技術の確立に力を入れる。「サツマイモ栽培の普及のため、育苗技術や品質の向上に努めていきたい」と三浦代表は意気込む。(武藤)