農業共済新聞記事バックナンバー
「GI登録を弾みに」
【仙台市】仙台市太白区中田の大友仁一(おおともじんいち)さん(72)は、25㌃の圃場で「仙台せり」を生産している。仙台せりは名取市と仙台市太白区で栽培され、今年3月に農産品のブランドを保護する農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録された。
大友さんは約35年前にセリ栽培を5㌃から始め、徐々に面積を拡大してきた。栽培期間は1ヶ月半ほどで、9月初旬頃に定植したものは10月下旬から収穫し、10月中旬頃に定植したものは正月に向けて収穫を行う。
栽培する品種は「名取5号」で、太さがあり収量の多い点が特徴。「寒さに弱いため、冷たい風に当たると葉が黄色く変色してしまい、商品価値が下がってしまう」と大友さん。寒さ対策としてセリ田を防風ネットで囲み、冷たい風からセリを守っている。また、茎が折れやすいため、収穫時などは慎重に気を付けながらセリを扱っているという。
収穫したセリは、仙台、豊洲、横浜の市場へ出荷する。大友さんは「メディア等でセリが取り上げられたおかげで需要も多く、仙台せりが欲しいという声も聞き、ありがたい」と話す。
GI登録となり、現在85名の生産者が「仙台せり」の名称を使用している。「登録されたことで伝統野菜としての付加価値が高まり、後継者にもより安心して続けてもらえる。これまで以上に品質に自信をもって出荷することができるが、商品に対する期待に応えられるようさらなる勉強、研さんを重ねるなど生産者としての自覚も必要となる」と気を引き締める。
大友さんは「これからも体の続く限り、セリ生産者や妻とともに頑張っていき、おいしい仙台せりを届けていきたい」と抱負を話す。(鈴木裕)