農業共済新聞記事バックナンバー
「野菜生産にも前向き」
【大崎市】大崎市岩出山地区で2016年2月に設立されたアグリやまぐち株式会社。山口壽(ひさし)代表取締役(66)は、娘で取締役の遠藤玲美(るみ)さん(38)と従業員3人で地域農業を支えながら、田んぼや畑を管理し、農業に日々まい進する。
アグリやまぐち株式会社は、主食用米20㌶、飼料用米17㌶のほか、エダマメやカボチャ、ソラマメなど1.5㌶を栽培。収穫した米や野菜を「あ・ら伊達な道の駅」で販売するほか、米はJA出荷と大崎市・仙台市の飲食店へ販売をする。
地域で高齢化や担い手不足で管理が難しくなった農地を集約し、同社が栽培管理する。約20㌶から始まった作付けは、現在37㌶を担い、地域農業を支えている。
「担い手不足から地域の田畑が荒れるのを防ぎたい」と山口代表。水稲は8品種作付けし、田植え作業や稲刈り作業は各1ヶ月間を要する。
さらに野菜の栽培にも力を入れる山口代表は「農閑期や米の栽培作業と重ならず、栽培できる作物を増やしていきたい」と話す。
遠藤さんは「設立当初は事務員として働いていたが、今では、農業機械を運転するようになった」と経理事務の傍ら、会社にあるほぼすべての作業機を扱い農作業をするという。
最近はイノシシによる圃場の踏み荒らしや、畦畔(けいはん)の掘り起こしの被害が増えている。クマによる野菜の被害も見られ、電気柵や箱わなを設置するなど対応に苦慮している。
「苦労もあるが、道の駅のお客さんから『お米がおいしいので定期購入したい』という声をいただいている」と遠藤さんは笑顔を見せる。
山口代表は「設立当初から『若者がやりたいと思う農業経営と環境づくり』を目指している。会社経営の安定や就業体制の改善を進め、雇用を増やし地域農業を維持していきたい」と今後の展望を話す。(堀籠)