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「畑ワサビ初収穫、生産拡大に期待」

【加美町】先ごろ、加美町で県内初めて畑ワサビの収穫が行われた。加美町畑ワサビ生産協議会の氏家賢司会長(76)は、「初めての栽培だったが、順調に生育してくれた」と笑顔を見せる。同協議会は昨年11月に生産者7人で発足し、中山間地での新たな特産品として「日本一の産地」を目指し、県でも生産拡大に力を入れている。

氏家会長方では、主食用米1・7㌶、野菜10㌃のほか、畑ワサビ7㌃を栽培。2022年11月に定植した7千本のワサビ苗は、約60㌢に成長し、青々とした葉を広げる。
 「畑ワサビは主に茎を食用とするワサビで、栽培も手がかからないことが魅力」と氏家会長。
 畑ワサビの収穫は生産者で協力し、畑から手作業で抜き取り、作業場へ運ぶ。出荷する茎から葉と根を切り落とし、選別してコンテナへ詰め、初出荷された。
 ワサビの消費量は日本食が拡大する海外で急増する一方、国内生産量は温暖化の影響で減少傾向にある。そこで比較的冷涼な東北地域に着目したわさび製品大手の金印株式会社(名古屋市)と大崎農業改良普及センターが連携し、県内で栽培面積拡大を図っている。
 畑ワサビは農地利用が難しい山林の日陰の土地を使用。収穫が6~8月と稲作作業と重複せず、収穫したワサビは全量1・5㌧を金印株式会社が買い取り、工場がある岩手県に出荷することで、販路が安定している。
 「昨年の8、9月は猛暑が続いた。ワサビは直射日光に弱いので、遮光ネットを設置して見守ってきた。初めての栽培で不安もあったが、思った以上に生育してくれた」と氏家会長。
 「今後は、生産量と品質を向上させる工夫をして生産者を増やし、加美町の特産品に押し上げていきたい」と抱負を話す。(本田)

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