農業共済新聞記事バックナンバー
「高品質なイチゴを多くの方に届けたい」
【栗原市】栗原市一迫の黒澤寛人さん(46)は、妻の美和子さん(44)と鉄骨ハウス11㌃でイチゴの水耕栽培を行い、1日あたり最大200パックを出荷している。「地域の農業に貢献しながら、より多くの人においしく、安全なイチゴを食べてもらいたい」と話す。
黒澤さんがイチゴの栽培を始めたのは、就農前の研修で山形県の農家を訪問したことがきっかけ。研修先では、イチゴとトマトを栽培していたが、イチゴの水耕栽培に魅力を感じ、就農時の2000年から栽培している。
就農当初から日々試行錯誤してきたという黒澤さん。当初の品種は、「とちおとめ」を栽培していたが、2023年から「ベリーポップすず」という、従来のイチゴよりも育苗期間が大幅に短縮できる品種に切り替えた。期間が短い分、農薬の使用量が節減された苗を植え付けることができ、より安全性が高まったという。
黒澤さん夫婦が取り入れた水耕栽培は、肥料を用水と混ぜ、パイプを経由し養液を全体に行き渡らせる仕組みだ。栽培開始当初は購入した肥料をそのまま使用していたが、現在は品質向上やより安全性の高いイチゴを栽培するために成分を研究し、独自に配合した肥料を使用している。
黒澤さんは「安全なイチゴを皆さんに届けることを一番に考え、品種や栽培方法などを試行錯誤してきた。妻と2人で作業をしているため、作業負担の軽減も考えながら安全でおいしいイチゴを届けたい」と話す。(狩野)