農業共済新聞記事バックナンバー

「後継者として、優秀な牛を飼育したい」

 【色麻町】「種雄牛候補牛としての検定牛に選抜されるような優秀な牛を育成したい。また、人工授精の技術向上をしていきたい」と話すのは、色麻町清水地区の高橋司(たかはしつかさ)さん(35)。父の浩弥(こうや)さん(64)とともに繁殖和牛農家でありながら、人工授精師として種付けや採卵、種雄牛の選別など優れた素牛の育成にも力を入れている。

 司さんは、繁殖和牛親牛28頭、子牛14頭を飼育。父の浩弥さんも40頭の繁殖和牛を飼育し、親子で経営を分けて飼育している。
 「祖父が人工授精師で近所の農家から頼られていた。父も繁殖和牛農家で、自分も牛を育てたいと思っていた」と司さん。宮城県農業大学校を卒業後、宮城県畜産試験場に5年間勤め、美里町の繁殖和牛農家のもとに1年間住み込みで働きながら和牛経営を学んだ。その後、実家で就農し、10年になる。
 「ほかの和牛農家と関わりながら、新たな知識を得たり、人工授精師として種付けのアドバイスをしたり情報交換が楽しい」と司さん。「父とは血統や飼育管理について経営方針が同じ意見なので、経営は別だが、お互いを補い合って経営している」と話す。牛の管理状態で種付けの受胎率も変化するため、栄養管理や、畜舎と設備の管理にも気を配る。
 親牛に種付けをして市場に出るのが2年後になるため、先を見据えて肥育農家に好まれる血統を選択する。また、生まれた子牛を自家保留し、優秀な子牛を育てるための母牛として育成するなど工夫を凝らす。
 「今は子牛市場価格の低迷、飼料や資材、燃料費の高騰と逆風が強いが、まずは現状維持で大きな事故を起こさないよう、飼育管理に気をつけ健康な牛を育てる。いずれは繁殖・肥育・出荷と一貫経営を考えている」と今後の展望を話す。(小原)

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