農業共済新聞記事バックナンバー

「地元産食材で給食提供」

【登米市】登米市米山町の「有限会社みずの(水野慎太郎代表取締役(47)」は、三元豚8600頭を飼育している。「株式会社石ノ森農場(山内健太郎代表取締役)」と「株式会社櫻井農場(櫻井利光代表取締役)」とともに、地元の農産物を学校給食に活用してもらおうと、一昨年から豚肉と野菜を同市に寄付し食育活動を図っている。

 養豚のエサには、全粒粉のトウモロコシを使用。エサ用の米も市内の農家から仕入れるなど品質管理を徹底している。
 水野代表は、「食材費の高騰で給食事業に影響が出ていることを知ったことがきっかけ」と話す。今年2月に提供した食材は、豚肉230㌔とちぢみ雪菜12㌔。これまでに提供された農産物は、豚肉950㌔、キュウリ228㌔、キャベツ518㌔と、市場価格に換算すると200万円を優に超えるという。
 「当初この話を給食センターに持ち掛けたところ、受け入れに慎重だった」と水野代表は振り返る。通常とは異なる食材の受け入れとなるため、給食センターに受け入れやすい時期や食材の種類を聞き、協力を取り付けた。
 寄付の目的は、農業や登米市の魅力を実感し、良質な農畜産物が近くで生産されていることを子どもたちに気付いてもらうこと。また、「従業員の心を満たすことも狙いのひとつだった」と言い、「自分たちで育てた豚を笑顔で食べる子どもたちを見た従業員は、帰ってきてからの顔が充実に満ちていた」と笑顔を見せる。
 当初は「無理のない範囲で一緒にやろう」と生産者を誘っていたが、今では他の生産者からも参加の申し出があるという。今後は、「協力してくれる生産者が増え、すべて登米市産の食材で給食が提供される日を夢見て、活動を続けていきたい」と展望を話す。(及川明)

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