農業共済新聞記事バックナンバー
自家産ラズベリーでアイスクリーム
「おいしい」を励みに
伊藤のりさん(登米市)
【登米市】「収益を考えない道楽みたいなもんです」と話す、登米市南方町の伊藤のりさん(69)。2アールほどで栽培するラズベリーを使い、「道の駅みなみかた」でラズベリーアイスを販売している。
容器のふたを開けると、鮮やかな赤色をしたたくさんの種が目に入る。「イチゴと同じように、種も魅力の一つです」とのりさん。アイスの製造は業者に発注し、開発当初は取り除いていたが、粒々の食感を味わえるように改良したという。
容器のふたは、夫の幹生(みきお)さん(71)と二人でデザインを考案。ラズベリーをデザインした輪の中にのりさんの名前が入り、1個290円で販売する。
ラズベリー栽培は、幹生さんが建設会社に在職中、農業部門に携わったことがきっかけで始めた。のりさんは「里山にあるキイチゴをイメージすると酸味が強そうですが、ラズベリーは甘味があって、それほど酸っぱくないんですよ」と話す。
8年ほど前から本格的に取り組み、のりさん手作りのラズベリージャムも例年出品している。しかし、今年は天候が合わなかったのか、収穫量が少なく出荷できるのはアイスだけになってしまったという。幹生さんは「樹体も更新時期なのかもしれない」と栽培面での課題も挙げる。
それでも「今年はこれだけ採れたと確認できる収穫期は楽しいし、おいしいと喜んでもらえるのも幸せ」と笑顔で話す伊藤さん夫妻。ラズベリーは、栽培する幹生さんと加工販売するのりさんの、二人三脚での楽しみとなっている。
ラズベリーアイスは、少し溶かして軟らかくすると味が分かりやすいという。アントシアニンが豊富に含まれていることから、のりさんは「パソコンで疲れている現代人の目の疲れを、おいしいアイスで解消するというのはどうでしょうか」とほほ笑む。