農業共済新聞記事バックナンバー
子牛の発育を重視 安定経営を目指す
栗原市 菅原一研さん
【栗原市】「就農するなら今だと思った」。栗原市瀬峰の菅原一研さん(27)は今年就農し、父・一幸さん(58)とともに繁殖和牛8頭を飼養するほか、水稲5.7ヘクタール、WCS(稲発酵粗飼料)用米1.1ヘクタール、草地3ヘクタールを手掛けている。「生き物を飼うことは難しいが、仲間が増えてくれるとうれしい」と話す。
一研さんは、宮城県農業大学校畜産学部で生産技術や経営管理手法を学び、卒業後は6年間、県畜産試験場で飼育管理業務の補助として働いていた。
「以前から牛の世話を中心に稼業を手伝っていた。就農するなら、子牛市場での取引価格が高値で推移し、青年就農給付金など新規就農者に対する給付金・補助事業制度を生かせる今だと思った」と就農のきっかけを話す。
最初に取り組んだのは給餌の仕方で、「子牛は初期の育成が大事。生後3カ月までは特に神経を使う」と一研さん。
粗飼料を多給せず、適正・適量なスターターの給与に改善した。
ペレット状で高タンパク質の濃厚飼料を生後7日から多給して発育を良くし、第一胃の絨毛を発達させる。90日齢で離乳させ、180日齢をすぎたら量はそのままに、粗飼料を食い込ませている。
一研さんは「こうすることで骨格と腹ができたボリュームのある子牛に育つ」と話す。
牛の観察も欠かさず、餌の食い込みを確認し、量や配合を調整。哺乳も生後2カ月まで十分に与え、90日齢までに徐々に減らして母牛の発情回帰を促している。
来年4月からは独立して経営を始める。3年かけて素牛を30頭に増やすとともに、畜舎も新築する計画だ。現在の市場価格が続くことを願い、安定した繁殖経営を目指すという。
一研さんは「来年は宮城県で全国和牛能力共進会が開催される。経験豊富な先輩方に教えてもらい、代表に選ばれて上位入賞できるように頑張りたい」と意欲を見せる。