農業共済新聞記事バックナンバー

商品性の高い子牛生産 血統選びに重点

千葉良二さん(栗原市)

【栗原市】「来年開かれる全国和牛能力共進会に向けた計画交配が実施されてきた。積極的に協力し、日本一を目指していきたい」と話す、栗原市鶯沢の千葉良二さん(63)。肉用牛の繁殖のほか、水稲3ヘクタールと採草地4ヘクタールの作付け管理に日々汗を流す。

千葉さんは、57歳の時に長年勤めた会社を退職。20年ほど牛を飼養しながら勤めていたが、本格的に牛飼いをするために一念発起した。
それまで5頭だった素牛〈もとうし〉を増頭するため、16頭が飼養可能なパイプハウス型牛舎を建設。県内外から素牛を導入し、血統の良い牛を自家保留して現在15頭の素牛を管理する。
粗飼料を確保するために近隣の休耕田を借り、畜産農家の仲間たちと作業を協力しながら効率化を図っている。「自分はまだ若い方で、年配の人たちを手助けしている」と千葉さん。
牛の状態を毎日観察し、病気の牛がいないか注意を払う。「寝ている牛は、様子が変だと思って見た方が良い」。出産直後や病気のときなど、状態に合わせて餌の配合を変え、敷料には扱いが楽なもみがらとぬかを使用して労力を軽減する。
市場の動向に合わせ、父牛は「好平茂」などの県基幹種雄牛を選択。素牛も常に入れ替え、良質な子牛生産を心掛ける。
肉用牛の繁殖農家の減少が危惧される中、千葉さんは共同で飼養管理ができる運営を望む。「個人ごとにやっていくのには限界がある。拠点を設け、誰もが負担にならないよう複数人で経営していけば、雇用も増えるし収入も増える。何より、飼養者の体調不良というリスクを分散できる」と話す。
千葉さんは、栗っこ農協和牛改良組合協議会会長と栗駒高原和牛改良組合組合長を務め、栗原市の畜産振興に多忙な日を送る。「高齢化や後継者不足で、生産基盤の構造的沈下が加速している。優秀な雌牛を確保し、商品性の高い子牛生産に取り組んでいきたい」と意欲的だ。

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