農業共済新聞記事バックナンバー

イタリアナスの普及へ 楽しみながら

大崎市古川 佐々木由紀子さん

【大崎市古川】「楽しみながら栽培していきたい」と話す大崎市古川の佐々木由紀子さん(35)は昨年から、ビニールハウス(17坪)でイタリアナスを手掛けている。「日本のナスとは違うおいしさを知ってほしい」と料理教室を開催するなど、特徴や調理法、食べ方を広く伝えている。

佐々木さんは短期大学卒業後、1年間のスイス留学で西洋野菜を学び、日本でも普及したいと栽培を開始。結婚後も、家族4人で酪農(搾乳牛30頭)と水稲4ヘクタールを経営する傍ら、西洋野菜作りに取り組んできた。昨年からはイタリアナス「ロッサビアンコ」、白ナス、「ゼブラ」などを手掛け、佐々木さんは「日本野菜と違った味わいを伝えられたらうれしい。子どもたちの喜ぶ顔が見たくて、一緒に楽しみながら育てていきたい」と話す。
栽培は、夏場の収穫に向けて4月上旬になるとセルトレーに播種し、6月中旬にハウス内に定植する。育苗期の食害を防ぐために粒剤を一度だけ散布するほかは農薬を使用せず、ハウス内では両側面や入口にコンパニオンプランツとしてハーブ類を混植。害虫の侵入を防ぎ、駆除に力を入れる。
土壌の施肥設計にも気を配り、県農業改良普及センターに分析を依頼。地力があるため元肥を控え、不足する分を液肥で補っている。
8月上旬から9月上旬までを収穫に費やし、卸売業者を通じて仙台のレストランに提供するほか、自家産野菜やハーブを盛り込んだ料理教室を開いている。家庭料理にもふんだんに使用すると、子どもたちにも人気となっている。
イタリアナスは、基本的にオリーブオイル、ニンニク、コショウ、バター、トマトソース、チーズなどを使った加熱調理に向く。「チーズとの相性が良く、加熱するととろけるように柔らかくなり濃厚でおいしい。彩も鮮やかで見栄えもいい」と佐々木さん。ステーキやソテーはもちろん、グラタンや肉詰めにも合うという。
佐々木さんは「多くの人に味や見た目の美しさを楽しんでもらいたい」と話し、広く栽培してもらえるように技術習得を目指す。「自家栽培して地域に合ったナスを作り、根付かせていきたい」と抱負を話す。

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