農業共済新聞記事バックナンバー

地域住民雇用で生産・加工活動 みんなが笑顔

大崎市松山 浦上 和子さん

【大崎市松山】「自分が手掛けた農産物でおいしいものを作りたい」―大崎市松山の浦上和子さん(65)は、自家製のみそを使用した「しそ巻」をはじめ、地元の食材だけを使用して商品を製造・販売している。浦上さんは「地域の人を呼び込み雇用することで、地域の活性化にもつなげていきたい」と話す。

浦上さんは、水稲2ヘクタールと畑20アールを作付する傍ら、1993(平成5)年からJAの加工場を利用してみその加工・販売を開始。99(平成11)年には自宅に加工場を設け、しそ巻の本格的な製造を始めた。浦上さんは「家族の介護で農作業に手が回らず規格外の野菜を廃棄した経験があり、自分が生産した農産物を生かしたかった」ときっかけを話す。
一人で始めた農産加工は、今では生産量の増加に伴って雇用者を5人にして対応するほどに成長。しそ巻、漬物、みそ加工のほか、餅類など50点の商品を製造している。販売は、JAの農産物直売所や地元スーパーが中心だが、口コミで評判となってからは全国に向けて配送。売り上げは年間4千万円ほどになるという。
食材は、自家生産するほかにJAみどりの農産物直売所「元気くん市場」や地元農家から仕入れ、意識的に地元産を取り入れている。
販売額の3割を占めるしそ巻は、自家製みそを使用。県内産「ミヤギシロメ」と自家産「ひとめぼれ」の麹を用いたみそで、一つ一つ丁寧な作業を心掛け、自信を持って勧めている。
浦上さんは、農産物の栽培や収穫、加工の下準備などでも地元の高齢者8人を雇用。「畑では多品種の野菜を栽培しており、皆さんの働きやすい時間に合わせて作業を依頼しています」と話す。地域の活性化、雇用者の生きがいの場になっており、浦上さんは「いつも笑い声が絶えず、家庭的な雰囲気が自慢」と話す。
浦上さんは「地域の皆さんに支えられています。食材を無駄なく生かしながら、食べた人が幸せな気持ちになるようなおいしい加工品を作り続けていきたいです」と抱負を話す。

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