農業共済新聞記事バックナンバー
トルコギキョウの後作にストック 連作障害を回避
丹野 隆啓さん(仙台市)
【仙台市】「有効な輪作ローテーションを組み、盆や春彼岸に出荷タイミングを合わせた栽培を目指したい」と話す仙台市若林区沖野の丹野隆(たか)啓(ひろ)さん(30)は、就農して8年。昨年からトルコギキョウの後作にストックを輪作するローテーションを導入し、作業の省力化と連作障害回避に努めた花き栽培に取り組んでいる。
丹野さんは、県農業実践大学校(現県農業大学校)を卒業後、長野県で肥料を使わない自然農法を学び、就農した。現在、両親とともに水稲4・8ヘクタールのほか、ハウス8棟(20アール)でサニーレタスやコマツナなどの野菜15品目と、花き栽培に取り組んでいる。「私は水稲と、トルコギキョウ20種、ストック15種の栽培を担当。花はデリケートなので手を抜かずに育てている」と話す。
花き栽培では、トルコギキョウの後作にストックを手掛ける輪作ローテーションを昨年から導入した。
トルコギキョウは、3月上旬に播種し、4月中旬に定植。生育を見ながら肥培管理を徹底し、盆にタイミングを合わせて出荷する。ストックを9月下旬に播種。10月下旬に定植し、翌年3月の春彼岸に出荷している。
「後作のストックを定植する際、トルコギキョウ栽培で被覆したマルチをそのまま使用している」と丹野さん。これまでは、被覆したマルチを外して耕耘。畝立てをした後に再度マルチで被覆して定植していたため、作業1回分を省略することができる。
丹野さんは「ストックからトルコギキョウに切り替える際は、残ったストックの株が太過ぎてそのまま定植することは難しい。トルコギキョウからストック栽培に移行するときに有効だ」と話す。
また、マルチの上に筋状に肥料を置いていく施肥方法も取り入れるなど、工夫し省力化、簡略化を図っている。丹野さんは「ローテ―ションでトルコギキョウの立枯病などの連作障害を防ぐことができる」と自信を見せる。
栽培管理も徹底し、換気で最適な温度を維持することや芽かきとフラワーネットを上げるタイミングを逃さないことなど、花の状態を注意深く観察して適期に作業することを心掛けている。
主な販路は、自宅での直売と県内の産直施設で、「花持ちがいい」「色が鮮やか」と評判も上々だ。
丹野さんは「これからも自分スタイルの農業にチャレンジしたい」と新たなステージを目指している。