農業共済新聞記事バックナンバー
伊豆沼レンコン 歯触りの良さに自信
佐藤慎太朗さん 【栗原市】
【栗原市】栗原市の佐藤慎太朗さん(43)は、両親と共にレンコン1・3ヘクタールのほか、水稲7ヘクタールを栽培している。現在、種レンコンを掘り出して栽培田に植え付ける作業に追われ、佐藤さんは「一本一本丁寧に植え付けている。伊豆沼の自然の恵みを受けたレンコンのおいしさ、歯応え良さを知ってもらいたい」と話す。
佐藤さんは、山梨県の大学を卒業後、菓子店に勤務していたが、27歳のときにUターンし就農した。「帰省した際に両親に老いを感じ、就農を決めた。実家が伊豆沼近くにありレンコン栽培をしていたため、すんなり入ることができた」と話す。
就農当初は、両親のほか近隣の栽培農家からレンコン栽培のアドバイスを受けて取り組んできた。4月下旬になると種専用田からレンコンを掘り出し、栽培田に一本一本並べ、泥をかけて定植。収穫が終わるまで絶えず水の中で管理を行っている。
「除草・防虫作業を小まめに行い、水を切らさないよう水量調整に気を配っている」と佐藤さん。「盆近くになると真っ白い花を咲かせ、自然の恵みを感じる。その分、天候に左右されることも多く、数年前には台風で葉が折れ、収量が上がらずに注文を断わりつらかった」と話す。
収穫は、10月から始まり翌年3月まで。寒さでおいしさが増すほか、正月のおせちや祝い事の料理に欠かせないこともあり、年末にかけてが収穫のピークとなっている。佐藤さんは「真冬に休みなく冷たい水の中に入るため、しもやけとの戦いになるが、『おいしかった』の一言や高品質のレンコンができたときは喜びもひとしお」と話す。
年間の収穫量は3~4トンで、県内のスーパー、直売所に「伊豆沼レンコン」というブランドで出荷するほか、個人販売では遠く大阪府まで郵送している。
「今はこれ以上に規模を拡大することは難しく、新たな需要に応じることができないでいることが悩み」と佐藤さん。「レンコンはどんな料理にでも合うので試してほしい。おいしさ、歯触りの良さを知ってもらい、『伊豆沼レンコン』の価値を上げていけるよう、良品質のレンコンを手掛けていきたい」と話す。