農業共済新聞記事バックナンバー
マスクメロン栽培
== 手間かけて高糖度 ==
【岩沼市】マスクメロン「ミラノ」を生産する岩沼市の「岩沼相野釜ハウス園芸組合」は、土作りから箱詰めまで細心の注意を払う。収穫時に必ず糖度を計測して、基準を徹底する。「メロンは努力した分、結果に表れる。今年は好天にも恵まれ、糖度ののりが良かった」と宍戸繁組合長(69)は話す。
津波被害乗り越え産地継続
岩沼相野釜ハウス園芸組合は1974(昭和49)年に設立。相野釜地区は、もともと複数のメロン農家が栽培を行っていたが、大震災の津波被害で、大部分の農家は継続が困難となった。
同組合は民間企業による支援を受け、2011(平成23)年12月に営農を再開。現在は5戸・7名の農家が、19棟(60アール)のビニールハウスでマスクメロンをはじめ、クールボジャメロン、野菜を手掛ける。
女性組合員は「互いに協力や尊重することを忘れず、栽培に取り組んでいる。設立から長く継続できているのは組合員同士が知恵を出し合い、おいしいメロン作りに励んでいるから」と話す。
マスクメロンの栽培には、堆肥2トンと有機質肥料を投入して土作ったハウスに、1棟あたり400本の苗木を6月下旬に定植する。1本に3果まで育てて、形状の良い1果を残し、1果ずつ新聞紙で覆って日焼けを防ぐ。
ミネラル成分を含めた液肥を、灌水と一緒に施す他、週に一度の葉面散布で十分に与える。これにより、メロン独特のえぐみが少なく、味がまろやかに仕上がり、年齢を問わず人気を得ているという。
また、アブラムシやうどん粉病などの防除も定期的に行う。
収穫は9月中旬から10月中旬の1カ間、毎週ハウス2棟分を収穫する。「収穫の一週間前からハウス内の灌水を切ることでメロンの糖度が増す。糖度が15度を超すこともある」と宍戸組合長は甘味を重視し、14度に満たないものは出荷しない徹底ぶりだ。
宍戸組合長は「400個の実なり対して例年は7割ほどの収穫だが、今年は天候に恵まれ、出荷基準を満たすものが9割まで伸ばせた。毎年、私たちのメロンを待ってくれているお客さまのために、おいしいものを作り続けたい」と抱負を話す。
玉磨き後に箱詰めされるマスクメロンは、数に限りがあるため一切市場出荷せず、直売と注文販売で対応する。