農業共済新聞記事バックナンバー

「自家産生乳で手作りチーズ 安全安心に自信」

【登米市】「作り手の顔が分かる、安全・安心なチーズだと自信を持っている」と話す、登米市米川の佐藤昌慎(まさのり)さん(42)。2014(平成26)年にUターンし、両親が営む酪農を手伝う傍ら、自家産生乳を用いたチーズを製造・販売している。「始めたばかりで試行錯誤の日々だが、やりがいを感じている」と話す。
 昌慎さんは、高校卒業すると地元を離れ就職したが、14(平成26)年にUターンし就農。父・勝雄さん(67)、母・典子さん(65)を手伝う傍ら、チーズ工房「狼河原(おいのがわら)」を構え、自家産生乳を使用した手作りチーズを製造・販売している。
 「父が自家用にチーズを作っていた延長で商品化することを提案され、原料の生乳が豊富にあることから工房を開いた」と昌慎さん。地域に根差した商品になるよう、工房名には自宅周辺の昔の呼び名を使用した。
 狼河原チーズは、ホルスタイン種とブラウンスイス種の生乳を用いたフレッシュチーズで、モッツァレラチーズとストリングチーズ(さけるチーズ)」の2種類がある。
 搾り立ての生乳を低温殺菌し、乳酸菌と凝乳酵素を加えて固め、その後水分(ホエー)を除きながら成型。塩漬けした後、水分をふき取り寝かせたら完成だ。「生乳60㌔からできるチーズは6㌔ほど。無添加で作っている」と昌慎さん。「作業場を改装し設備を整えて工房を構えたが、一連の作業に10時間ほどかかるため、製造は週に2~3回が限度」と話す。
 販売は、市内の道の駅のほか、気仙沼市の市営放牧場「モーランド」など。フレッシュチーズは時間がたつほど風味が変わるため、在庫状況を確認して納品している。
 今年3月からはふるさと納税返礼品に登録され、地域の魅力発信にも寄与。昌慎さんは「酪農経営の傍らチーズ製造も軌道に乗せることは大変だが、やりがいを感じている。チーズの種類や生産量を増やして対応していきたい」と意欲を見せる。
▽チーズ工房「狼河原」
cheese.oinogawara@gmail.con

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